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女性特有 性器のかゆみ
性器のかゆみは、不衛生な状態や夏場の湿気による蒸れなどで誰もが一度は経験したことがあるはずです。しかし、日常のかゆみだと思っていたら性感染症や毛ジラミ症だったということもありますので、かゆみの他に症状がないかどうか、しっかりと確認することが重要になります。
汗や蒸れ、下着などとの接触による刺激で性器にかゆみが起こります。とくに女性の場合、生理用品によるかゆみに悩まされる人も多いようです。しかも女性はきついガードルやストッキングなどの圧迫によって性器と下着が密着することが多いため、男性よりもかゆみが起こりやすいといわれています。
性交渉によって性感染症(STD)や毛ジラミ症に感染すると、その症状の一つとして性器にかゆみがあらわれることがあります。また性交渉のときに使用するコンドームのゴムが刺激となって、性器にかゆみを感じることがあります。
白癬菌やシラミが陰毛に付着して感染すると、性器周辺に激しいかゆみがあらわれます。また、トリコモナス菌が性器の中に入り感染すると、女性の場合は激しいかゆみが生じます。これらの菌は高温多湿の環境を好むため、温泉や温水プール、サウナなどでも感染する危険性があります。
代表的なものは、性感染症(STD)です。近年は性交渉の低年齢化による10代の性感染症が社会的な問題になっています。その他、一般的にかぶれと呼ばれる接触性皮膚炎やいんきんたむし、毛ジラミ症などが性器や性器周辺のかゆみの原因となります。
この疾患は、女性と男性では原因も症状も異なります。女性は主に過労や妊娠などによって体力や抵抗力が落ちたときに、膣に棲んでいるカンジダ菌が異常に増殖して起こります。性器が赤く腫れあがり、強いかゆみを感じ、チーズや酒かすのような白いおりものが出ることが特徴です。男性の場合はカンジダに感染している女性との性交渉によって感染します。症状が出ないことがほとんどですが、まれに性器にかゆみやただれ、水ぶくれが生じることがあります。
主に性交渉によって感染しますが、下着やタオル、浴室、便座などを介して感染することもあります。女性が感染すると、まずおりものの量が増えて性器に激しいかゆみを感じます。そのうち、泡立った臭いのきついおりものが出るようになります。男性の場合、ほとんど症状があらわれませんが、ごくまれに尿道から膿が出たり、排尿時に軽い痛みを感じることがあります。
クラミジアという細菌による性感染症で、女性の性感染症では最も多い疾患です。女性の場合、自覚症状はほとんどなく、おりものが多少増えたり、下腹部に軽い痛みがある程度です。しかし水面下で着実に進行し、放置しておくと不妊の原因になることもあります。男性が感染すると排尿時の軽い痛みやしみる感じとともに、淡黄色や白色の膿が少量排泄されます。また、尿道にかゆみを感じることもあります。
淋菌という細菌による性感染症です。女性は顕著な症状があらわれることが少なく、感染から数日後に外陰部のかゆみやおりものの増加が起こる程度なので、感染に気付かず慢性化することがあります。また、妊婦が感染すると、新生児の結膜炎を招き、最悪は失明の危険もあります。男性の場合、排尿時に焼け付くような強い痛みを感じるとともに黄色い膿が尿に混ざります。尿道にかゆみや不快感を感じることもあり、さらに炎症が広がると、陰のう部が強く痛むこともあります。
性交渉などによる単純ヘルペスウイルスの感染によって起こります。感染すると、男女ともに性器や肛門にむずがゆさがあらわれます。その後、痛みとともに小さな水ぶくれが生じます。この水ぶくれが破裂すると激しい痛みを感じ、そのために排尿や歩行が困難になることもあります。過労やストレス、性交渉などが引き金となって再発することが多く、8割の人が1年以内に再発するともいわれています。
主に薬品や化粧品、衣類などに触れた刺激によって皮膚がかぶれ、かゆくなります。性器のかゆみの原因としては石鹸や下着の刺激、生理用品などが考えられます。また、赤ちゃんのいる家庭では一番身近なのが、オムツかぶれです。便や尿の回数が多い新生児や、下痢のとき、長時間おむつをつけっぱなしにしていることで、赤いブツブツなどの炎症を起こします。
股にカビの一種の白癬菌がつくことで感染します。多くは弓状の赤い隆起ができ、激しいかゆみをともないます。白癬菌は高温多湿の環境で繁殖しやすいため、股の部分に汗が溜まりやすい男性に感染が多くみられますが、最近はストッキングの影響などで女性にもみられるようになりました。
毛ジラミが陰毛に寄生すると、かかずにいられないほどの激しいかゆみがあらわれます。毛と毛が接触するだけで感染するので、性交渉によって簡単に感染します。他にもプール、サウナ、温泉や毛ジラミに感染している人と衣類や寝具を共有することでも感染する可能性があります。
毎日下着を変え、性器を洗うこと。そしてお風呂に入れない日もシャワーを浴びたり、汗をかいたら下着を早めに変えるといった簡単な心がけでかゆみを予防できます。また、生理のときは3時間を目安にナプキンを交換しましょう。しかし、かゆみを意識するあまりに洗いすぎるとこすれて痛くなることがありますので、洗うときはごく少量の石鹸でやさしく洗いましょう。
性感染症は、正しい知識を持ってパートナーとともに予防していくことが大切です。性感染症を防ぐためには、コンドームの使用が一番現実的で確実ですが、行為によっては防げない性感染症もあります。くれぐれも注意しましょう。
衣類による圧迫や汗など、日常生活で起こりうる女性の性器のかゆみには、性器用に処方された市販の軟膏が有効です。いんきんたむしには、白癬菌を殺菌するブテナフィン塩酸塩などを配合した軟膏やエアゾール剤が効果的です。水虫の薬は、毎日欠かさずかゆみや赤みのある患部よりも広く薄く、そして根気強く続けて塗りましょう。
性器のかゆみが何日も続いたり、尿やおりものなどに異常があるときは泌尿器科や婦人科を、いんきんたむしの疑いがあるときは皮膚科の診察を受けましょう。万が一パートナーが性感染症に感染していたときは、自覚症状がなくても感染している可能性がありますので、パートナーと一緒に診察を受けましょう。
近年、10代前半からの若い世代にも性感染症が広がっています。とくに女子の感染率の高さは社会的な問題になっており、症状が出ていないものの性器クラミジアに感染している女子高生が全体の約13%もいるという報告があるほどです。これは性交渉が低年齢化していることや、性に関する正しい知識がないままに性交渉していることが大きな原因といわれています。