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さまざまな病気

手 捻挫(ねんざ)


関節に無理な力が加わって、関節内の骨と骨とをつなぐ靱帯が伸びたり切れたり、あるいは関節を包む関節包が損傷することを、捻挫といいます。足首や肘や膝だけでなく、体内の全ての関節で起こります。

日常生活から考えられる原因

衝撃やねじれなど無理な力がかかる

何かの衝撃やねじれ、転倒などによって関節に無理な力がかかり、関節が動ける範囲を越えて曲がりすぎたり、伸ばされすぎるなどしたときに、捻挫が起こります。

捻挫(ねんざ)の症状

軽度の靭帯(じんたい)損傷(捻挫 I 度)

靱帯が伸びているものの、断裂はしていない状態です。痛み、腫れや皮下出血などはそれほどひどくはありません。

靭帯の部分的な断裂(捻挫 II 度)

靱帯に部分的な断裂が起こった状態で、うずくような痛みや腫れがあります。軽度の靱帯損傷に比べて、痛み、腫れや皮下出血の範囲が広くなります。関節が不安定になることはありません。

靭帯が完全に切れた状態(捻挫 III 度)

重度の捻挫では、完全に靱帯が切れて、激しい痛み、ひどい腫れや大量の皮下出血がみられ、関節は不安定になります。足首の場合は、関節が不安定になるうえ、痛みのために体重をかけることができません。

捻挫(ねんざ)をともなう疾患

腰椎捻挫(ようついねんざ・ぎっくり腰)

顔を洗うときの中腰の姿勢や、重いものを持ち上げるときの腰を折り曲げた姿勢などが原因で起こります。腰にある小さな関節が捻挫を起こし、急激な痛みに襲われ、動けなくなります。腹筋や背筋が弱い人に起こりやすく、再発することも少なくありません。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。

腰痛

頸椎捻挫(けいついねんざ・むち打ち症)

車の追突やスポーツでの激しい衝突などで、首がのけぞり、頸椎が捻挫している状態で、むち打ち症とも呼ばれます。首が動かしにくい、首や肩が痛むなどの症状が現われます。また、損傷がひどい場合には、頭痛や吐き気、耳鳴り、倦怠感に悩まされることも少なくありません。

日常生活でできる予防法

運動前にウォーミングアップをする

体の筋肉や関節が硬いまま激しい運動を始めると、捻挫の危険性が高くなります。運動を行う前には、必ず十分なウォーミングアップを行いましょう。また、日頃から、ストレッチングを行い、筋肉の柔軟性を高めるとより効果的です。

サポーターによる保護をする

足首を捻挫しやすい人は、予防のためにサポーターを足首に装着し、関節を安定させるといいでしょう。

対処法

応急処置を行う

捻挫したときは、ライス(RICE)と呼ばれる4つの応急処置をするのが基本です。応急処置後は病院で診察を受けましょう。 捻挫した部位を動かさないようにして、腕では三角巾や代わりのタオルなどで吊り、足では松葉杖を使うなどして荷重がかからないようにします。 捻挫部位を中心に少し広めの範囲を氷を入れたビニール袋や冷却パックで冷やし、炎症を抑え痛みを緩和します。15~20分が目安で、これ以上続けて冷やすのは避けましょう。再び痛むようなときは救急処置だけでなくその後も断続的に続けます。 腫れや内出血を防ぐために、伸縮性のある弾力包帯やテーピングで、捻挫部位を適度に圧迫しながら巻いて固定します。強く巻きすぎると局部的に血流が低下することがあるので注意が必要です。 捻挫した部位を心臓より高い位置に保つことで、内出血を防ぎ痛みを抑えます。椅子やクッションなど手軽な高さのものを利用しましょう。ただし、捻挫直後は冷却が原則ですが、炎症がおさまる回復期の4日目くらいからは温める方法に切り替えるよう注意が必要です。
(1)安静(Rest)にする。
(2)冷却(Ice)する。
(3)圧迫(Compression)する。
(4)高く(Elevation)挙げる。

市販の薬を使う

受傷後の炎症と痛みを抑えるには、鎮痛消炎成分のインドメタシンやフェルビナクなどを配合した外用鎮痛消炎薬が効果的です。

病院で診察を受ける

捻挫というと、軽傷と思いがちですが、骨折以上の重傷となることもあります。さらに適切な処置を行わなければ、治りが悪くなり、捻挫を繰り返しやすくなります。また、捻挫だと思っていたら脱臼や骨折だったというような場合もあります。とくに、捻挫 III 度で靭帯断裂があるときは手術が必要になるので、早めに病院で診察を受けましょう。

O脚の人は捻挫をしやすい

O脚の人の足首にある足関節は、関節面が内側に向いて傾斜していて、靴のかかとが外側からすり減っていきます。このような足関節では、外側の靱帯が緩くなり、関節がぐらつきやすく捻挫を起こしやすくなります。O脚の人は、日頃から足関節を柔軟に保つようにストレッチを行ったり、スポーツ時には念入りにウォーミングアップするようにしましょう。