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全身 多汗
暑いときや運動をしたとき、または緊張したり驚いたり、不安になったときには、体全体、あるいは手のひらや足の裏、わきの下に汗をかきます。これは体温を調節するための生理的な汗です。通常ではとくに汗をかく必要がない環境や条件の下で、発汗作用が促進され大量に汗をかくのが多汗です。
暑いときや運動をしたときには、体温を調節するために、体全体から汗をかきます。これは、体温を37℃前後に保つためにでる生理的な発汗です。同じように、辛いものや熱いものを食べたときに、額や鼻、唇の周囲、首などに汗をかくことがあります。これも、生理的な発汗の一種です。
驚きや緊張、不安などを感じたときは、主に手のひらや足の裏、わきの下などの局所に汗をかきます。いわゆる冷や汗も、これにあたります。この発汗には、精神的な要因と自律神経の働きの乱れが関与していると考えられています。
汗が病的なほど異常に出るのが多汗症です。多汗症は、大きく分けると局所性多汗症と全身性多汗症があります。局所性多汗症は、汗をかきやすい体質に精神的な影響が加わったものがほとんどです。全身性の多汗症も多くは体質的なものですが、原因となる疾患が潜んでいる可能性もあります。
のどぼとけの近くにある甲状腺から、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるのが甲状腺機能亢進症です。全身に大量の汗をかく他、甲状腺の腫れや手の震え、疲労感や体重の減少、さらに眼が突き出るなどの症状があらわれます。20~30代の女性に多い疾患です。
閉経の前後、約10年間をさす更年期を迎えると、女性ホルモンのバランスが急激に変化し、心や体にさまざまなトラブルを引き起こします。症状には、ホットフラッシュと呼ばれるほてりやのぼせ、多汗をはじめ、肩こりや疲れ、だるさ、イライラや不安感などがあります。
ストレスなどが原因で自律神経が乱れ、心や体に不調があらわれます。不安や緊張、抑うつなどの心のトラブルや、多汗、全身の倦怠感、頭痛、肩こり、手足のしびれ、動悸、不整脈、めまい、不眠などの症状があらわれます。あらわれる症状は人によって大きく違うのが特徴です。
汗腺の出口がつまり、汗が出口周辺に小さく、炎症やかゆみをともなう赤い水疱が多数あらわれるのがあせもです。かゆみのためにかきすぎると細菌が感染することがあり、その場合は水疱に膿が混じることもあります。汗をかきやすいおでこやわきの下、ひじや膝の裏側に多くみられます。汗をかきやすい夏はもちろん、熱すぎる暖房や厚着によって、冬にも見られます。乳幼児に多い疾患ですが、大人にもできることがあります。
熱いお湯で汗腺を刺激して、健康的な汗を積極的にかきましょう。最初にやけどをしないくらいの、43~44℃程度の熱いお湯でひじから下と膝から下を10~15分程度温めると、汗腺の機能が高まるといわれています。次に、そのお湯に水などを足して、36℃程度のぬるめのお湯に15分ほどリラックスして全身つかるのが効果的です。
乾布摩擦には、入浴と同じように汗腺を鍛える効果があります。手、腕、足、スネなどの皮膚を毛の流れに沿って5~10分、タオルでこすりましょう。
現在は発汗を抑えるさまざまな制汗剤がそろっています。外出前に、気になる場所に制汗剤を使用してみましょう。ただし、これらは多汗の原因そのものを解決するものではありませんが、一時的な制汗効果として上手に活用しましょう。
汗をふくときは乾いたタオルではなく、濡らしたタオルを使いましょう。濡らしたタオルは、汗に含まれる雑菌まで取り除いてくれます。またシャワーをこまめに浴びるのも効果的です。
汗は蒸発による気化熱で体温を下げる働きをもっているので、衣服は熱の発散を妨げないものを選びましょう。とくに下着は通気性、吸水性、速乾性に優れた綿素材がおすすめです。また、体を締め付けないようにすることも大切です。
全身に起こる多汗には、肥満症や発汗中枢の障害(脳血管障害、脳腫瘍)、糖尿病など、重い疾患が隠れている場合もあります。多汗にもし異常を感じたら、主治医や皮膚科の診察を受けましょう。
体を構成するたんぱく質は、肝臓でエネルギーに変わるときに、脂肪や糖類など他の栄養素と比較すると約5倍の量の熱を生みだします。この熱が汗の原因になるのです。たんぱく質の中でも熱の生産量が高い肉類を控えめにすると、汗の量を抑えることができます。また、汗腺機能を高めるには、山芋や里芋などネバネバしたムコ多糖類を多く含む食品が有効です。