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口・鼻・のど 虫歯
主に歯垢(しこう)の中にいる虫歯菌は、食事の中の糖類を利用して酸をつくります。この酸が固い歯を溶かしてしまうのが虫歯です。虫歯菌は初期は歯の外側の固い部分を、その後進行すると、歯の神経や根元の部分まで侵すようになります。虫歯が神経にまで達すると、強い痛みが生じます。
間食が多く、いつも口の中に食べかすがあったり、歯磨きやうがいが不十分だったり、あるいは間違った方法で歯磨きをしていると、口の中に糖質や食べかすが残ります。歯垢の中にいる虫歯菌が、これらをのり状の酸につくり変えて歯の表面に付着させるので、虫歯ができやすくなります。とくに、砂糖の入った甘い食べ物は、虫歯菌が酸をつくりやすいので、虫歯の大きな原因となります。
歯並びや歯の噛み合わせが悪いと、歯に汚れが溜まりやすく、虫歯の原因になります。永久歯の形成期である7~8歳前後に重い病気や大きなけがを負い回復に時間がかかったり、カルシウムなど必要な栄養素が不足したりすると、歯の表面を覆うエナメル質が十分に形成されず、虫歯になりやすい歯になってしまいます。
唾液には口の中を湿らせると同時に歯の表面を覆って歯を守り、細菌を浄化する役割をしています。さらに食べ物の消化を早めて残りかすを減らし、酸を中和するなど虫歯菌に対抗する働きもしています。そのため、緊張やストレスで唾液が少なくなると虫歯のリスクが高まります。
虫歯は、虫歯の進行状況によってC1~C4の4つの段階に分けられています。また、虫歯の進行は永久歯よりも乳歯の方が早いといわれています。乳歯が虫歯になると、丈夫な永久歯が生えなくなることがありますので、乳歯は抜けるからいいと思って虫歯を放置することは危険です。 ●第1段階(C1)…歯の表面のエナメル質だけが傷ついたり、穴が開いた状態です。虫歯になったところが乳白色や茶褐色に変色します。また、食べ物が詰まりやすくなり、デンタルフロス(糸ヨウジ)に引っかかる感じがみられます。痛みなど自覚症状は、まだありません。 ●第2段階(C2)…虫歯が表面のエナメル質から内側の象牙質に達した状態です。硬いものを噛んだときに痛んだり、冷たい水や熱いお茶、甘いものなどを口にするとしみるようになります。 ●第3段階(C3)…虫歯が歯髄にある神経まで達した状態です。歯の神経の炎症が起こり、日常的に強い痛みを感じるようになります。さらに進行して、歯の神経が死んでしまうと痛みはなくなります。 ●第4段階(C4)…歯の神経が死んでしまい、歯の形も大きく崩れ、根元だけが残っている状態です。
第一の予防法は、食後の丁寧な歯磨きで、口の中を清潔に保つことです。虫歯ができやすいのは、主に歯垢がつきやすく取りにくい噛み合わせの溝や、歯と歯の間で歯ぐきに近いところや、歯と歯が隣り合っている面です。とくにその部分に注意しながら歯の1本1本を磨くように歯ブラシを動かし、磨けない部分はデンタルフロスや歯間ブラシなどの歯間クリーナーを使って磨きましょう。
間食をすると、口の中が不衛生な状態になりやすく、虫歯菌にいつも栄養を与えることになりがちです。間食は極力控え、もし間食したときは、すぐに歯を磨きましょう。また、睡眠中は、唾液の分泌量が減少します。寝る直前の飲食は、口の中に虫歯菌を繁殖させる原因となりますので控えましょう。
砂糖に代わる新しい甘味料として、キシリトール、ステビアやアスパルテームなどいくつもの新甘味料が開発されています。これらは砂糖とは違い虫歯の原因になりにくく、さらにキシリトールには虫歯の原因となる菌の活動を抑制する働きがあるといわれています。
ごく初期の虫歯は唾液の働きによって修復されることがありますが、進行した虫歯は自然に治ることがありません。歯磨きやうがいで予防につとめるとともに、早期発見・早期治療のため、年に1~2回は歯科医で定期検診を受けましょう。
デンタルフロスを使用すると、目では確認しにくい初期の虫歯を発見できることがあります。日頃からデンタルフロスで歯の清潔を保つとともに、虫歯の早期発見に気を配りましょう。
痛みがあり、すぐに専門医を受診できないときは、用法・用量を守り、市販の鎮痛剤を利用しましょう。ただし、痛みがおさまったからといってそのままにせず、できるだけ早く専門医の診察を受けるようにしましょう。
虫歯は誰もがかかりやすく、非常に多い疾患です。虫歯の治療は症状が進行するとともに複雑になり、通院回数も多くなります。初期のうちに発見し、早期治療につとめましょう。とくに子どもの虫歯は成人に比べてはるかに早く進行するので、早目の受診が必要です。
インプラントとは、歯が抜けてしまった部分に人工の歯の根を埋め込んで、天然の歯のかわりに使う方法です。取り外しのできる義歯や義歯をつけるためのブリッジをつけるために健康な歯を削ることに抵抗がある人、義歯ではよくなじまない人などに施術されます。ただし、外科的手術が必要であり、歯の抜けた部分の状態や骨の性質などに結果が大きく左右されますから、正確な診断が必要です。まずは、かかりつけの歯科医に相談してみましょう。