');

さまざまな病気

口・鼻・のど 鼻出血(鼻血)


鼻の入り口付近には血管が集まっている部位があるため、粘膜が少し傷ついただけでも出血が起こります。しかし、鼻のかみすぎや打撲などもないのに鼻血が繰り返し起こるようなときは、血液や内臓の疾患の可能性もあります。

日常生活から考えられる原因

顔面の外傷や鼻のかみすぎ、いじりすぎ

鼻の中は、柔らかく弱い粘膜でできていて血管がたくさんあります。そのため、傷がつきやすく出血しやすいのです。とくに、鼻の入り口から約1cmほどの部位は、毛細血管が多く、指でいじったり鼻を強くかむ程度の刺激でも粘膜が傷つき出血することがあります。このタイプは、子どもが鼻血を出す大部分の原因といえます。また、アレルギー性鼻炎などで鼻を強くかむ癖がある人にも、鼻血がみられることがあります。

のぼせや興奮、刺激物のとりすぎ

血圧が高いときや鼻の粘膜が弱っているときには、鼻血が出やすくなります。とくに、高血圧や動脈硬化によって血管がもろくなっている人は、緊張や興奮、のぼせや飲酒など、血圧が上昇する要因には注意が必要です。このような場合、多くは鼻の奥のほうからの出血です。さらに鼻の奥には太い動脈が走っているため、この動脈が破れると大量に出血することもあります。

鼻出血の原因となる主な疾患

鼻も触らない、傷もないのに頻繁に鼻血が出る場合は、白血病や特発性血小板減少性紫斑病(ITP)といった血液の疾患の可能性が疑われます。また鼻血は、高血圧症や動脈硬化症など、血管がもろくなる疾患の症状としてもみられます。

鼻出血(鼻血)を引き起こす疾患

白血病

骨髄で異常な白血球細胞が増殖し、正常な白血球をつくることができなくなる疾患です。異常な白血球細胞が増えるために、正常な赤血球や血を止める血小板も減少し、出血しやすくなり、動悸や息切れをともなった極度な貧血症状を引き起こすことがあります。鼻に触れない、傷もない、鼻の中も荒れていないのにかなり頻繁に鼻血が出たり、歯茎からの出血がみられる場合には注意が必要です。

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)

免疫機能の異常によって血小板が脾臓(ひぞう)で次々と壊されて血小板の数が減少するため、出血症状があらわれる疾患です。最初は顔や体に砂粒のような赤く小さな点状の内出血がたくさんあらわれることで気付きます。進行すると皮膚にもっと大きな青あざができたり、歯茎からの出血や鼻血、血尿や血便などがみられ、重症化すると脳出血を起こすこともあります。

高血圧症

遺伝や肥満、塩分のとりすぎなどの生活習慣が原因で、収縮期(最高)血圧140mmHg以上、または拡張期(最低)血圧90mmHg以上が続く状態です。特徴的な自覚症状はほとんどなく、放置すると動脈硬化が進んで、心筋梗塞や脳卒中などの合併症を引き起こします。まれに頭痛やめまいなどをともなうことがあり、また血管への圧力が高い状態が続いているため、血管がもろくなり、まれに鼻血が出やすくなることもあります。日本では患者数が現在約4000万人といわれ、子どもの高血圧も増えています。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。

血圧が高めである

動脈硬化症

血液中のLDLコレステロールが動脈の血管壁に沈着し、動脈の層が厚くなったり、硬くなる疾患が動脈硬化症です。動脈硬化が進むと、血管は弾力性を失い、もろくなるため出血しやすくなり、まれに鼻血がみられることもあります。動脈硬化は自覚症状がないままに進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患を引き起こすため十分な注意が重要です。

対処法

ややうつむき加減で鼻をつまむ

疾患によるものではない鼻血は、ややうつむき加減で両側の鼻先のふくらんだ部位を強くつまめば数分で止血できます。うなじを叩く人も多くみられますが、これは止血の役には立ちません。鼻血が多くて血液がのどに流れた場合、飲み込んでしまうと吐き気をもよおすことがあるので、なるべく飲み込まないようにしましょう。

病院で診察を受ける

たびたび鼻血が出たり、15分以上出血が止まらない場合は、血液や鼻の病気の可能性もあります。かかりつけ医師か耳鼻咽喉科の医師の診察を受けましょう。

チョコレートと鼻血の関係は都市伝説!

「チョコレートを食べると鼻血が出る」という話をよく耳にします。しかし、医学的に見ても、チョコレートと鼻血の頻度には何の関連もありません。これは栄養価の高いチョコレートの食べすぎによって、体内にエネルギーが溜まり、鼻血が出るという噂が発展してしまったのではないかといわれています。ただし、チョコレートに含まれているカフェインによる作用や、もともと体質的に鼻血が出やすい人がチョコレートの糖分で血糖値が上がり、血管が拡張したために鼻血が出たという説もありますので、食べすぎには注意しましょう。