意味 |
特定物の保管を委託する契約。民法に規定されている契約のひとつで、当事者の一方が目的物の保管を委託し、相手がこれを承諾することによって成立する(諾成契約)。保管を引き受ける者が受寄者、保管を委託する者が寄託者、寄託する目的物が寄託物である。寄託は契約によって成立するが、原則として、受寄者が寄託物を受け取るまでは契約を解除することができる。また、その沿革から、原則として無報酬と考えられているが、契約で有償の寄託にすることもできる。受寄者は、無報酬の場合には「自己の財産におけると同一の注意」をもって、有償の場合には「善良なる管理者の注意」をもって、寄託物を保管する義務を負うほか、寄託者の承認なしに受託物を使用しない、寄託者の承諾等なしに寄託物を第三者に保管させないなどの義務がある。一方、寄託者は、有償の場合には報酬を支払わなければならず、寄託物の性質・瑕疵によって受寄者が受けた損害を賠償するなどの義務を負う。寄託者は、返還時期を定めた場合であってもいつでも寄託物の返還を請求できる。一方、受寄者は、期間の定めが無いときはいつでも、定めがあるときはやむを得ない事由がある場合を除いてその期限後に返還することができる。また、寄託物の損傷等による損害賠償や受寄者が支出した費用の償還は、寄託物の返還から一年以内に請求しなければならない。なお、営業に伴なう寄託や寄託を業とする場合(倉庫営業)については、民法に優先して商法に定める規定が適用される。例えば、営業に伴う受寄者は、無報酬の場合であっても「善良な管理者の注意」をもって寄託物を保管しならないし、倉庫営業者は、寄託物の預り証券及び質入証券を発行しなければならない。また、特殊な寄託として「消費寄託」がある。これは、銀行預金などのように、受寄者は寄託物を消費することができ、返還は寄託物と同種・同等・同量のものをもってする寄託である。 |